東京高等裁判所 昭和51年(ネ)439号 判決
≪証拠≫によれば、控訴人は昭和五〇年二月ごろ本件乗用自動車を下取りに出して新車を購入すべく中古車販売業者に本件自動車の価格を査定してもらったところ、その際の査定価格は金五二万円であったこと、≪証拠≫によると、控訴人の会社では自動車がないと営業上支障をきたすため、控訴人は被控訴人から本件自動車を抑留された後、やむなく金五〇万円を投じて本件自動車と同程度の中古乗用車を購入して営業に使用したことがそれぞれ認められる。これらの事実に徴すると、昭和五〇年三月末当時における本件自動車の時価は、控訴人主張のとおり金四〇万円を下らなかったものと認定するのが相当であ<る。中略>
ところで、営業に使用する自動車を不法に抑留されたことによって被る損害の額は、本来、抑留期間に対応する代車の借用料相当額を基準として算定すべきであるが、抑留期間が長期にわたる等のため右基準により算定した損害額が抑留開始当時の当該自動車の時価を超えるときは、損害額は右時価の限度にとどめるのが相当である。
本件について見ると、控訴人は昭和五〇年三月末以降当審における口頭弁論終結時まで三年有余にわたり本件自動車を抑留されたものであって、右抑留期間中控訴人において継続的に代替車両を使用する必要があったことは、控訴人が前認定のとおり代替車両を購入した事実に徴して優にこれを肯定することができ、仮りに控訴人が右代替車両の購入に代えて年間二〇〇日代車を借上げ使用したものとし、借用料を控え目に見積って一日金一、〇〇〇円として試算しても、三年間における借用料相当額は金六〇万円に達することとなるので、控訴人に生じた損害の額は抑留開始当時の本件自動車の時価、すなわち金四〇万円と算定すべきである。
(外山 近藤 鬼頭)